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スタートは、仲間と社外で趣味として。その後、NTTドコモの新規事業プロジェクトになった「embot」誕生秘話

スタートは、仲間と社外で趣味として。その後、NTTドコモの新規事業プロジェクトになった「embot」誕生秘話

39worksから生まれた新たなサービス「embot」が株式会社インフォディオよりリリースされました。「embot」は、ダンボールと簡単な電子回路でできたお手軽ロボット。子どもたちは自由に切り貼りしてオリジナルロボットが作成でき、子どもが自分でプログラミングして動かすことができます。

実はこの「embot」、最初はNTTドコモ社員たちのプライベートワークとしてスタートしました。どんな経緯があって、会社の新規事業プロジェクトとして進めることになったのか。今回は、その背景を聞いていきます。

社外でロボット開発を始めたきっかけ

embot立ち上げメンバーである額田一利さんは、社内ではなく社外でプロジェクトをスタートした経緯をこう語ります。

「社内でもサービスのアイデアは提案していたのですが、なかなか通らなかったんです。会社でやるのは難しいのであればプライベートでやろう、そう考えて社外で活動することにしました」

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「せっかくなら技術も身に着けたい」と考えた額田さんは、技術に長けた社内のメンバーに声をかけます。「何かやりたいよね」とよく口にしていたり、勉強会を開くなど積極的に活動しているメンバーに声をかけ、プロジェクトに誘っていきました。

「声をかけたメンバーは、新しいことをやりたいという熱意やアイデアがあり、高い技術力のあるエンジニアでした。素晴らしいメンバーと共に、何を作ろうかと考え始めたんです」

チームとなり、何を作ろうかと考え始めた額田さん。彼らは様々なアイデアを検討していきました。例えば、最初に検討していたのはコミュニケーションをとっている相手が忙しいのか、余裕があるのかなど、相手の状態がわかるウィジェットアイコンを開発するアイデア。自由な発想で、いろんな可能性を検討していきました。そこから、数度のブラッシュアップを経て、「ロボット」を開発することに。

「技術的にロボットも開発可能なメンバーだったことに加えて、会社にしばられることなく、自由に発想できる状態だったことが、ロボットを開発する決め手だったかもしれません。壁掛けカレンダーや壁掛けの時計のような、単純だけど必要な情報を伝えるものはパソコンやスマホがあってもなくならないと気づきました。その気づきから、実家や大切な人と、大事だけどちょっとした連絡を取り合うためのロボットを開発し始めました」

マイルストーンをセットして社外での開発を進める

アイデアの方向性が見えた額田さんは、エモーションロボットからプロダクトに名前を付けます。「embot」誕生の瞬間でした。

いよいよ、開発に向けて取り組み始めた「embot」チーム。ですが、プライベートワークで取り組んでいると、どうしても進捗が鈍くなりがちでした。この課題をクリアするために、開発のマイルストーンを設定し、社外コンテストに挑戦することに決めます。

「積極的に社外コンテストにエントリーしていきました。『マッシュアップアワード』や『TECH LAB PAAK』、その他にも日テレ主催の展示会など、様々な場所で『embot』の話をしていきました」

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当時は、「embot」に投資したいという話もあったそうです。結局、タイミングが合わなかったために話は流れてしまったそうですが、「embot」をさらに成長させていくために、チームは様々な模索を始めます。

「『embot』は、技術とアイデア、両方から枝を伸ばしていきました。技術があるからそれを使ったらどんなことができるのか、『こんなことができるといいよね』というアイデアを実現するために何ができるのか。多くの人に使ってもらうことをゴールに両方のアプローチで枝を伸ばしていきました」

彼らが伸ばしていった枝の先の1つに「プログラミング教育」というテーマがありました。

普及に向けて課題の多いプログラミング教育への挑戦

「自分以外の立ち上げメンバーの2人は、エンジニアだったこともあり、プログラミング教育に関心がありました。『embot』の活用方法についてアイデアを出し合う中で、プログラミング教育の話になり、このロボットがどうしたら役に立つのかを考えていきました」

「embot」メンバーは、既成のプログラミング教育教材に対して、開発キットもソフトウェアも自由度が低く、一方でコストは高いことに課題を感じていました。そこで、彼らは手軽な材料で構成され、ソフトウェアやサーバーもカスタマイズしやすいキットを開発することに着手。

「コストを安くし、改造しやすくするために、ダンボールを材料に選びました。既製品より自由度が高く、ソフトウェアにも手をいれやすいように、共通基盤も用意して。とにかく、自由に開発しやすい環境を整えていきました」

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「embot」チームは、プログラミング教育をテーマの1つに据えてから、イベント等でワークショップを重ねるようになっていました。そんなとき、NTTドコモから「趣味でもいいからやってよ」と言う人が出てきたそうです。

趣味のプロジェクトとして、NTTドコモの展示会のオープンハウスやファミリーデイでセミナーを実施しているうちに、社内のプロジェクトでやらないかという話がもちかけられました。

自由を残しながら社内事業としてのスタート

「最初は戸惑いました。趣味でのプロジェクトじゃなくなってしまったら、自由にできなくなるんじゃないか、そう思っていたんです」

元々、会社にとらわれず自由にやるためのプライベートワークとしてスタートした「embot」。会社から話が来たとしても、すぐに乗り気になることはできなかったそうです。「embot」が社内のプロジェクトになるまでには、数度の話し合いが重ねられました。

「最終的に、自由にできる状態で、かつ『embot』の開発が業務にもなる状態にしてくださるということで、社内の新規事業プロジェクトとしてスタートすることになりました」

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社内のプロジェクトとしてもスタートすることになった「embot」は、39worksの一プロジェクトとして活動を開始。「サービス化するうえで時間がかかることをできるだけ短くして、すぐにマーケットに出してみようという部署。社内でも、『ここならやりやすいだろう』と考えていました」と額田さんは39worksに入る前に抱いていた印象を語ります。

社内のプロジェクトとして「embot」を進めることに二の足を踏んでいた額田さんでしたが、実際には会社のプロジェクトとして展開することで、リソースをうまく活用できるようになったそうです。

「社内のプロジェクトとなったことで、もちろん良い点もありました。プライベートワークでやっていた頃、秋葉原でパーツを買っていたんですが、とにかくこれがお金がかかっていたんです。今では、開発費用が出るので楽になりました。社外リソースを使えるようになって、開発もスピードアップしました。法人営業が連携してタブレットを導入している先に営業をしてくれているので、会社のブランドもあり、公的機関への営業がかなり楽になりましたね」

「embot」が乗り越えていくべき課題

社内でプロジェクトを進めるようになって、7月19日にはついに先行体験版の予約も開始した「embot」。少しずつ、ステップアップしていっていますが、新たな課題も見えてきているそうです。

「社内のプロジェクトとして進める以上、設定されるマイルストーンがあります。ただ、これが必ずしもプロダクトのスケジュールとフィットしなかったりすることもあって。開発にしわ寄せがあるのではないか、というのは懸念していますね。マイルストーンに合わせるというプレッシャーによって、プロジェクトのコンセプトは曲げたくはありません。どう調整していくかは、これからの課題です」

この他にも、会社のリソースを活用できるようになったことで規模が拡大したことにより、新たな課題も出てきました。

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「規模が拡大してきているので、人が増えます。人が増えればいろんな意見が出て来る。意見が増えると、そっちの意見に引っ張られがちになってしまうんです。以前は、あまり必要のなかった『そもそも自分がやりたいことはなんだっけ』を確認し、言語化するようになりました。創業メンバーがやりたいことを明確にしておき、チームでビジョンを共有できるようにしなければなりません。成長中のプロジェクトなので、チームビルドが大変な時期ですね」

社内プロジェクトとしての課題、急成長中の事業を支えるチームの課題、そしてプロダクト自体にも乗り越えなければならない課題があります。

「現状、『embot』は競合に対しての一番の強みは価格優位性で、事業のコアコンピタンスをしっかりと作り上げないといけない時期です。他の優位性を作るために特許を出願することにも取り組んでいます。あとは、はやく世に出してユーザー数を増やし、製品のアップデートを届けたり、フィードバックをもらいやすい環境を作ること。ユーザーからの意見やユーザーデータの蓄積が優位性につながっていくと考えています」

プライベートワークとしてスタートした「embot」は、一つ一つ課題を乗り越えてサービスのリリースに至りました。敷居を高く感じてしまいがちなプログラミング教育を、より身近に、より多くのご家庭に届けることで、日本のIT人材育成に貢献していくために、「embot」はこれからも成長していきます。